【復刻・民泊革命(第41回)】 東南アジアでの民泊紹介サイト

1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。

 日本国内における民泊事情にフォーカスして連載を進めてきたが、日本国内では合法性が問題視される一方、競争が過熱気味になってきた。そういう状況を踏まえ、海外での民泊に目を向ける人もちらほら出てきた。今回は、東南アジア中心に富裕層向けの民泊物件だけを扱う仲介サイトを立ち上げ中の香港法人、アップステイの大日方祐介社長に、東南アジアの民泊事情を聞いた。

 

なぜ海外に目を向けたか

 2、3年前より旅行者としてAirbnbを利用してきた大日方氏は、個人が提供元である民泊は、クオリティに大きなばらつきがあることが気になっていた。そこで、今年2月頃から始めた民泊の運営代行でも、量を追わず、ハイエンドに絞り、クオリティを担保する方針でやってきた。

 しかし、日本特有の問題があり、富裕層向け物件の運用は、うまく行かないと言う。一つは、オートロックの問題。新しい高級マンションだと、ほとんどオートロックになっている。物件の外にキーボックスを置く方法で入ってもらうと、旅行者としてもハイエンドの物件というイメージがなくなる。もう一つが人件費の問題。人手を介して鍵渡しをすれば良いが、清掃を含め、民泊の運営には人手がかかる。人件費が高い日本では、結局利益が出ない。そこで、大日方氏は海外に目を向けた。

 

東南アジアを回って可能性を調査

8月末タイ、マレーシア、シンガポールで、民泊のホストや物件オーナー等を回り、東南アジアにおける民泊の可能性を探った。大いに可能性があるという結論だった。

 まず、都市のコンドミニアムタイプだが、高い物件でなくても、プールやジムが中にあり、十分高級感を持たせることができる。また、受付にガードマンのいる物件が多く、そのガードマンが本人確認や鍵の受渡しをする物件もあった。

 また、ビーチリゾートのヴィラは、元々外国人が所有する物件を地元の管理会社が運用しており、所有者自身が使わない時期は、管理会社が様々な手段で集客し、運用している。Airbnb以前に民泊を行ってきた。

日本に比べて安いと言っても、現地のホテルも2人で1泊1万円程度かかるし、スイートルームだと5万円以上する。しかし、ヴィラであれば、5人泊まれるような物件が1泊1万円程度で借りられる。広くて安いし、自分で調理や洗濯をでき、プールも付いている。今の若いミレニアル世代は、旅行の頻度が高く、民泊を好む傾向も高いので、ホテル滞在型からヴィラ滞在型への移行が予想されると言う。

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