【復刻・民泊革命(第42回)】 鎌倉合法民泊 運営体験記1

1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。

 8月鎌倉で簡易宿所の許可を取得し、合法民泊の運営を始めた。許可を取得することにも苦労はあるが、実際に民泊を運営することについても苦労や嬉しいことがある。数回に渡り、実際の民泊運営を通じて感じた点を当事者の視点から記してみよう。

 

どんな物件なのか

 「タローズハウス鎌倉小町」という名前で簡易宿所許可を取得したが、ホスト不在型、丸ごと貸しの民泊であることには違いない。ゲストハウスという表現もあるが、約96㎡の2LDK全体を貸すので、アパートメントというのが正しい分類のようだ。

 鎌倉駅から徒歩1分強、小町通りに入って左側2つ目の商業ビル・アイザ鎌倉4階に宿はある。ただ、一般の商業施設とは別に住宅2戸の入口があり、その1戸を転用したので、表からは簡単に入れない。駅至近なのに、まるで隠れ家である。

 オーナーよりこちらの場所の転用について相談があった時、2段ベッドをいくつか置くドミトリー形式の宿も考えた。が、海岸寄りにドミトリー形式のゲストハウスが多数立ち上がっていたこと、部屋自体が贅沢な作りになっていること、管理人を常駐させるには全体の面積がやや小さいことから、素材を活かした丸ごと貸しの路線を選択。

 建築士の香月真大氏に全体の構成や核になるデザインを考えてもらい、香月氏の知人の伊藤知宏画伯や鎌倉の華道家・萩原亮大氏の協力を仰いで内装を整え、8月中旬オープンした。

 

最初の宿泊まで1か月

 8月中旬Airbnbに登録したものの、なかなか近い予約が入らない。結局初めて宿泊客が泊まったのは、9月中旬になってからだった。今年に入って民泊を始めた人からは、最初はレビューがないので、予約が入りにくいと聞く。まさにそのとおりであった。

始めてみてわかったのだが、鎌倉は、まだまだ外国人からの認知度が低いらしい。タローズハウスの宿泊客は、日本人の率が4割近くで、外国人も日本に数年住んでいるか、日本の親族や知人の手配を受けているという人が多い。伝統的な日本文化を楽しむというと、京都に行ってしまうので、初めての来日客は鎌倉に寄らないようだ。

 また、日本人の間でも鎌倉は夜泊まるところではなく、日帰りで行く場所という認識が強い。街も夜は早めに閉まる店が多く、観光の中心である小町通りも7時位にはかなり暗い。

 鎌倉には宿泊施設が少ないため、宿泊客が少ないと聞くが、実は昨年から今年にかけてかなり旅館業許可施設が増えた。「鎌倉に泊まろう」というホームページを見ても15件以上新しく増えている。宿は十分。あとは、鎌倉泊の楽しさの認知度を上げることだ。

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