【第14回】民泊現場は犯罪の温床か2『北海道民泊、訪れてよし住んでよし』北海道民泊観光協会 代表理事 南邦彦さん

各自治体の住宅宿泊事業法の実施の制限に関する条例(素案) づくりが進められています。

パブリックコメント(意見募集)を募集している自治体がありますので、ぜひ、皆さんの居住する自治体のホームぺージで検索をしてみて頂けたらと思います。

大阪市の住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく事業者認定のルールを定めた条例(案)では新法が定める営業日数の範囲内(年間180日)なら日数を制限しないなど、規制をなるべくかけないことが特徴です。 自治体間競争によって、隣の都市は民泊制限をするのであれば、こちらは制限をせず隣の都市の分まで受け入れようという考えもあるでしょう。 今年の6月に住宅宿泊事業法は衆議院・参議院を通過しています。その際に賛成をしたのは自由民主党・無所属の会・民進党・無所属クラブ・ 公明党・ 日本維新の会・自由党です。反対は日本共産党・ 社会民主党・市民連合です。

民泊新法について同じ政党内でも国会議員は賛成・地方議員は反対となるのでしょうか。それぞれの立場等があるかと思いますが、政党内においても再度、民泊新法について議論を深めて欲しいと思います。 住民からのパブリックコメント(意見募集)を集約の上、2~3月に開催される議会で協議の上、条例策定の方向です。 行政担当者・議会議員の方には、市民の中に入って議論をしながら関心を盛り上げて欲しいです。

我々民泊事業者も積極的に彼らとの接点を増やして行きます。 民泊運営が生活環境に悪影響を及ぼす、犯罪の温床になるのでは?という指摘があります、ご心配なのはよく理解できます。私も当初はそのような考えをもっていましたが民泊は心の和むようなことの連続です。

先日、民泊清掃現場へ行った時のことでした、ゲストはチェックアウトした状態のはずですが、玄関先に靴が揃えておいてあります。このようなことは良くあることです。決められたチェックアウト時間にアウトをしないゲストもおります。飛行機のフライトの時間に合わせてアウトしたい気持ちも理解できます。しかし清掃する時間は限られているのでゲストにはアウトしてもらうか、コミュニケーションをとって清掃を手伝ってもらうこともあります。自身の利用した部屋を地元クリーナーと一緒に清掃をするというのも貴重な経験、体験の1つかも知れません。

今回のケースは靴はあるのですが、ゲストが室内にいる様子がありません。たしかに靴を捨てていくことは少なくありません。ショッピングをして新しい靴を履き、古い靴は室内に捨てていくのです。 声をかけても応答がなく、どうやらゲストはアウトしたようでした。

室内に入るとゲストがいる雰囲気はありません。テーブルの上になにやらメモがおいてありました。なんだろうとよく見ると、それは「ご霊前」の封筒だったのです。 靴が揃えておいてあり、ご霊前の封筒という妙な組み合わせ、恐る恐る、室内を確認するも心配するような現象はありませんでした。 封筒になにか自筆で書いてありますが理解できず、清掃を終えその場から離れました。

あとで封筒に書かれたメモを翻訳するとロシア語で「ステキなお部屋をありがとう」という意味でした。 ゲストは100円ショップで「ご霊前」をクール(カッコいい)なレターセットだと思い購入、そして早速利用したのです。

南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用で民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。