【復刻・民泊革命(第47回)】 民泊の設計をする建築士

1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。

 鎌倉の民泊「タローズハウス鎌倉小町」の内装を設計した一級建築士の香月真大氏。これまで民泊の立ち上げに協力する一方、現在もゲストハウスの設計2件に関わるなど、宿泊施設のサポートが増えてきたと言う。建築士の立場から、民泊がどう見えるのか、話を聞いてみた。

 

自分でも民泊を運営してみた

 そもそも私が香月氏と連絡を初めて取ったのは、「最近話題の『Airbnb』で、空き部屋を貸し出してみるとどうなる?」という記事をインターネットで見かけ、その記事を書いたのが香月氏だったからである。

 香月氏は、建築事務所として使っている部屋をシェアルームという形で貸し出したそうで、貸し出した当初は稼働率が8割程度になり、それなりに良い収入になった。ただ、私が連絡をしたのは、ゲスト対応が大変でやめた後だった。

 香月氏に聞くと、シェアルーム特有の問題があったと言う。短期のゲストはメッセージや鍵渡しのやり取りがあるだけでそれほど問題にならない。だが、滞在日数が長いゲストには、夜中に大音量で音楽をかけながら洗濯機を回されたり、風呂場を汚されて苦労した。滞在日数の長いゲストは、人を選んだほうが良いというのが、香月氏のアドバイスだ。

 

旅館業の許可を取るには建築士の協力も必要

 記事を見て連絡を取った後、私は時々香月氏に相談するようになった。旅館業の許可を取るには、建築関係の条件をクリアする必要があり、建築基準法などに関する細かい知識が必要だったからだ。

 その中で、私が準備していた鎌倉のゲストハウスの内装デザイン等についても、香月氏に相談するようになった。他にも、華道の専門家や画家も紹介してもらい、皆で協力してゲストハウスを立ち上げた。

 タローズハウスのトレードマークになっている「丸窓」であるが、これは鎌倉を歩いた香月氏が一番印象に残った明月院の窓をモチーフに考えたデザインだ。このデザインが気に入って予約したというゲストもよくいる。

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