【復刻・民泊革命(第48回)】 2017年 民泊のトレンドは?

1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。

 2017年の年が明けた。民泊という言葉が使われ出し、11月「民泊サービスのあり方に関する検討会」がスタートした一昨年を民泊元年とすれば、昨年は民泊第二年だった。新年号となる今回は、その昨年の動きをおさらいし、民泊第三年となる今年がどういう年になるか、民泊周辺のトレンドを占ってみたい。

 

激動だった民泊第二年

1月末大田区での特区民泊がスタートし、4月簡易宿所の面積要件が緩和、定員10人未満ならフロント不要の通知が全国自治体に送られ、大阪府でも特区民泊がスタートした。6月民泊あり方検討会の答申が出され、民泊新法の大枠と旅館業法の改正が決まった。10月には、特区民泊の泊数制限が6泊以上から2泊以上に緩和することが閣議決定された。検討会が終わってからは情報が少なく、分かりにくくなったが、今年の民泊新法制定、旅館業法改正に向け、議論は積み重ねられていたようだ。

 法制度が緩和に動く一方、民泊マーケットもかなりの変動があった。3年前約7千件だった民泊が、一昨年末には2万5千件程度、そして、昨年末には4万件以上とかなりの勢いで供給が伸びた。Airbnbによれば、一昨年訪日外国人の130万人程度が同サイト経由で民泊に滞在したが、昨年は10月までで3百万人が民泊に滞在したとのことで、需要もかなりの勢いで伸びたようだ。

ただ、現時点で言うと、稼働率や宿泊単価の低下に悩むホストが多い。需要の伸びを供給の伸びが上回ったようだ。マンションを借り、代行会社に民泊運営を丸投げするプチ大家ビジネスが広がったが、うまく行っているという声はほとんど聞かない。昨夏からは撤退や民泊物件の譲渡の話もよく聞くようになった。

マーケット環境が悪くなる一方、日本人の間での民泊への印象もまだまだ悪い。昨年はかなりのマンションが管理組合の総会で管理規約の改正を行い、民泊禁止のマンションが増えた。昨秋には民泊を扱ったドラマが放映されたが、民泊の悪い面をかなり強調したものだった。

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