【復刻・民泊革命(第51回)】 各地の民泊は?1-福岡

1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。

 

 一口に民泊と言っても、全国各地で様相は異なる。東京、大阪、京都のように多数の民泊がひしめき合って、意欲的な事業者が多い一方、住民の反発が起きやすい地域もあれば、まだまだ海外観光客や民泊が少なく、民泊と言うと他の地域の問題と感じる地域もある。

 そこで、各地の民泊の実情や規制緩和の状況を取り上げることにする。第1回の今回は、規制緩和を進める福岡を取り上げてみよう。

 

旅館業法施行条例を改正した福岡市

 昨年4月厚労省が旅館業法に関する政令や通知を見直した。これに伴い、各自治体で旅館業法施行条例の見直しが進むはずだが、実際は時間がかかっている。その中で、福岡市が昨年12月1日より、条例を改正した。いくつか修正点があるが、大きなものは、旅館、ホテル等と住宅の同一の建物の中での混在禁止に例外を設けたこと、定員10人未満の簡易宿所で一定の条件を充たせば、フロントを不要としたことである。

 その改正条例に基づく申請・許可の第1号を行ったのがシェアリングホテル社だ。改正条例の施行された12月1日に申請し、7日許可が下りた。今回は、3階建9戸のマンションの1戸で簡易宿所許可を取得したと言う。

 同社の高橋延明取締役によれば、合法にするためのコストがそれほどかからない物件もかなりある。仮に許可を取らずに民泊施設を立ち上げ、順調に行けば30万円の初期投資を半年で回収できる物件があるとする。この物件で許可を取得するために初期投資を倍の60万円にしても、7か月半程度で初期投資を回収できると言う。

なぜそれだけ早く回収できるかと言うと、合法物件だけを扱うブッキングドットコムなどの集客サイトに掲載でき、全体に宿泊費が安くなりがちなAirbnbに頼る運営に比べると、宿泊単価を上げることにより売上も上げられるからだ。

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