中央から福岡を目指す
高橋延明氏と聞いて、気づいた人もいるだろうが、彼は一般社団法人民泊協会の代表で、親しくさせてもらっている。彼は、昨年の4月から福岡での宿泊施設開発に力を入れ出したのだが、その理由も訊いてみた。
高橋氏によれば、福岡は東京に比べて家賃が安いのだが、ホテルの宿泊費は東京ほど安くない。また、ホテル数も需要に比べるとまだまだ多いとは言えない。そこで、経営上の利益は出やすい状況にある。また、今回の条例改正に見られるように、旅館業に対する規制を緩和してインバウンドを盛り上げようという自治体の姿勢もある。そこで、福岡が合法民泊を実施するのに一番条件が良いと考えたそうだ。
一方、福岡には九州で民泊施設を110物件管理する代行会社のエアベスト社がある。黒木透社長によれば、震災の影響も有り、昨年に比べて稼働率が熊本で20%、福岡で10%ほど低くなったと言う。しかし、まだまだ利益は出ているようだ。札幌でも50物件を管理し、東京にも今春進出を検討中、来年11月の上場を目指していると言う。このように、逆に福岡から全国を目指す動きもある。民泊業界では、地方から中央、中央から地方への動きが交錯する。
<筆者プロフィール> 児山秀幸(こやま・ひでゆき) 合法民泊やホステル・ゲストハウスなど簡易宿所の立ち上げや運営支援を手掛ける株式会社TAROコーポレーション代表取締役。旅館業法における「簡易宿所」の営業許可を取得した「タローズハウス鎌倉小町」を運営。Facebookグループ「簡易宿所・民泊ビジネス研究会」の管理人。Airbnbや民泊新法、旅館業法、特区民泊、東南アジア民泊、医療インバウンドなどに関するセミナー・コンサルティングも。
<前回号である第50回記事>