【復刻・民泊革命(第53回)】 各地の民泊は?3-大阪

1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。

 

 日本で一番民泊が集中する場所、それは大阪市中央区だ。単独の自治体では2位新宿区が34百物件強なのに対し、堂々1位の40百物件超が稼働。新宿区の面積18平方キロに対し、9平方キロ弱に集中する。そのため、単価や稼働率が低下し、民泊の経営が苦しいという声も聴く。

 さらに、昨年民泊特区が導入され、年明けから泊数制限も2泊以上に緩和された。今大阪の民泊はどうなっているのか。

 

1年で10倍になった大阪市中央区

 中国人にとって「心斎橋は魔界」という記事もあるが、ミナミのあたりは食事も売っている物も訪日外国人にとって魅力的らしい。東京~富士~京都~大阪というゴールデンルートが全盛だったころ、東京は1泊なのに対し、大阪で2泊するというパックも多かった。関西に観光資源が集中し、大阪中心にコンパクトにまとまっているのが好まれた。そのため、2015年大阪市中央区の民泊は1年でほぼ10倍になり、Airbnbで世界で最も人気のある都市に選ばれた。

 ただ、これだけ集中するとさすがに競争が激しくなる。民泊コンサルの新山彰二氏は、影響は2つあると言う。「1つは、観光に不便なエリアが圧倒的に不利になったこと。以前は多少不便でもゲストは来たが、今は利便性が良いところで供給が足り、不便な場所にほとんどゲストは訪れない。」さらに「もう1つは、スマートプライシング(Airbnbの自動宿泊価格設定機能)の単価が大幅に下がり、その影響で全体の単価が下がったこと。 良い立地でもスマートプライシングの価格だと赤字にしかならない。今では全て手動で価格設定している。」

 これに対し、大阪で約250室を運用する民泊代行会社ファミリアリンクの柏木祐介社長は「ゲストを満足させる運用ノウハウがあれば、黒字は全然出せます」と依然強気の構え。まだまだ参入は続きそうな気配だ。

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