【復刻・民泊革命(第54回)】 民泊で必要な消防設備

1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。

 

 ここ3回各地の民泊の状況を追ってきたが、今回は1回休んで民泊と消防設備に触れる。旅館業許可、特区民泊、そして現在検討中の新法民泊、いずれにしても合法的に民泊を行おうとすれば、建築基準法、消防法の基準をクリアしなければならない。

建築基準法ではその建物での運営ができないと判断されることも少なくないが、消防法では設備さえ設置すれば基準をクリアできる。ただ、その設備費用がばかにならないのだ。民泊では、どういう設備が必要なのか。

 

一戸建て民泊ではどんな設備が必要か

 一戸建て民泊の場合、結論としては3つのパターンがある。①建物全体に設備設置が必要な場合、②民泊部分中心に設備設置が必要な場合、③設置が必要ない場合の3つである。

 家主不在型で、建物の丸貸しを行う場合は、建物全体が宿泊施設と判断され、①になる。通常必要な物はa.自動火災報知機、b.誘導灯、c.消火器の3点で、カーテン、じゅうたんは防炎製品であることが要求される。ホームステイ型の民泊を行う場合でも、民泊部分が建物の半分を越えると①になる。この中で一番費用がかかるのは自動火災報知機だが、民泊では通常より少し安い無線方式の物が使える。大田区の特区民泊で聴いた話では、平屋で15万円程度、2階建てで20~30万円程度かかっていた。

建物の半分で民泊する場合や建物の半分未満だが民泊する部分が50㎡を越える場合は、②民泊部分に自動火災報知機を設置することになる。ただし、建物自体が300㎡以上の場合は、建物全体に自動火災報知機が必要だ。誘導灯は建物全体に設置が必要だが、1つの家で1つ程度である。民泊する部分が建物の半分未満で50㎡以下の場合は、③消防設備の設置は必要ない。

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