1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。
いわゆる民泊新法「住宅宿泊事業法」案が自民党の部会で議論され始め、早々にネットメディアでその全文が紹介された。旅館業界と関係の深い議員から強い反対があるとも報道されるが、その具体的な中身はどうか、確認してみた。
また、議論の本格化と時を同じくして、Airbnbからも年間180日を越える営業物件を非表示にするなど、4点の提案が出された。その影響についても触れてみたい。
180日規制についてはどうなるか
昨年の検討会で年間180日以内の規制が入ることは確定していたが、ゲストを募集する「営業日数」で数えるのか、実際に宿泊した「稼働日数」で数えるのかが、かなり大きな論点となっていた。その点について、法案はどうしたか。
確認すると、法案の第2条に「省令で定めるところにより算定した日数」と規定しており、法律の段階ではまだ結論を出していない。立法の段階では、その議論を避けようということらしい。
そして、この180日制限について、どの程度地方自治体で制限できるのかも大きな論点となっていたが、これはどうなったか。法案の第18条に「条例による(中略)制限」について、書かれている。
「住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止することが特に必要であると認められる区域があるときは、条例で、観光旅客の宿泊に対する需要への的確な対応に支障が生ずるおそれがないものとして政令で定める基準の範囲内において、期間を定めて、当該区域における住宅宿泊事業の実施を制限することができる」
かなり、苦心の法文と思われるが、基本的に政令で日数制限の基準を定めるということだ。ここも、立法の段階では議論を避けている。政令なので、内閣の考え方次第で短くなったり、長くなったりする可能性はあろう。