1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。
いわゆる民泊新法「住宅宿泊事業法」案が自民党の部会で基本了承され、3月10日閣議決定されるとの報道がされた。自民党でどのような修正がされたか、残念ながら私の手元には情報がない。ただ、大きな修正があったという情報もないので、前回に引き続き、ネットメディアで紹介された法文を今回も確認してみる。
「住宅宿泊事業」の定義はどうされた?
住宅宿泊事業法は、民泊という言葉を使わず「住宅宿泊事業」という用語を使う。昨年の検討会でも「民泊に定義がない」と度々指摘されたが、それを意識してか、第2条に用語の定義を並べる。
その定義は「宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業」。旅館業者については、除外されているが、旅館業者が住宅で宿泊の営業をする場合は届出が不要とする趣旨にも読めるところが気になる。
そして、その「住宅」の定義であるが、同条1項1号に「台所、浴室、便所、洗面設備その他の当該家屋を生活の本拠として使用するために必要な」設備がととのっていることが必要とされている。時々、浴室や台所、洗面所がない民泊施設もあるが、これは住宅にあたらないとされる可能性がある。
また、同項2号では、その住宅に人が住んでいるか、住んでいたことが必要という条件が定められている。これは空き家活用政策がベースに有り、基本的に中古物件に限るという趣旨のようだ。
条文は飛ぶが、住宅宿泊事業者の雑則を定める第21条にも住宅の条件として、建築基準法上「住宅」「長屋」「共同住宅」「寄宿舎」であることが必要と定められている。