先月観光庁は「平成29年7-9月期 訪日外国人消費動向調査」を公表しました、その調査項目に有償での住宅宿泊「民泊」が加わっています。国も民泊利用者の実態を把握しようとしているのです。
ホテル等の宿泊と民泊利用者とを比較すると、民泊利用者は若年層で、LCC利用が多く、平均宿泊数は7.6泊(ホテル等5.9泊)、旅行支出はホテル等の方が高く15.6万円に対して民泊利用者は0.75万円低い14.6万円となっています。しかし、飲食費や娯楽サービス・買い物についてはホテル等利用者と同等。 民泊を利用するゲストはホテル等利用するゲスト同様、飲食や娯楽サービス・買い物を節約することなく旅を楽しんでいるようです。 これらはゲストのチェックアウト時に清掃へ行くと、購入した靴の箱、ブランドのラッピング紙袋、大量のお土産が印字されたレシートなどがあります。
さらに民泊施設では室内にキッチンがあるため、市場等で海産物等を購入し、料理をして楽しむゲストもおります。北海道のカニは外国人にも人気です。それはそれは美味しいのですが、生ごみの臭いとカニの爪がゴミ袋を突き破ることがあるので清掃する方は気をつかいます。 印象としては、とにかくこんなに買い物してすごいなと感心するほどです。
札幌の民泊現場では、2年前から大手ドラッグストアなどの多言語パンフレットを民泊部屋で配布、補充を清掃時に行っています。ほかにも札幌以外の地方自治体と連携をし、地域の体験やアクティビティの紹介をしています。 先日、札幌狸小路のお土産ショップで民泊についてヒアリングを行いました。お土産店でも民泊については十分理解されており、お土産を購入された方に「ホテルはどこか?」と聞くと、Airbnbと答えるお客が増えたと話していました。
お土産店や地元商店にとってはホテル利用者・民泊利用者と区別することなく、外国人旅行者との接点を増やすことで商機をより増やそうとしています。 外国人旅行客に人気の北海道産枕 北海道産のそばがらを使用したラベンダー快眠枕を札幌のお土産店でテスト販売したところ反応がよく、東南アジアへコンテナ単位で輸出をするまでになったそうです。
「見知らぬ外国人がうろうろして気味が悪い」という声もありますが、住宅地・商業地を問わず、多様な文化を受容するオープンなマインドで受け入れられる土壌が広がればと思います。
南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用で民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。