【復刻・民泊革命(第58回)】 民泊法案、民泊への影響は?

1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。

 

 3月10日住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法の法案が閣議決定された。紙面でもお伝えしているとおり、今月国会に提出され、来年1月の施行を目指す。着々と進む180日規制に対し、民泊の世界にも様々な影響が出つつある。そのあたりを今回は取り上げてみよう。

 

住宅宿泊事業法案の閣議決定の裏で

「この度の閣議決定を大変嬉しく思います」民泊仲介サイトの最大手Airbnb Japanの田邉泰之社長は、同日コメントを発表した。民泊を行う後ろ盾を得られれば、同社も大手を振って営業ができるということだろうか。

 ただ、その感想を民泊ホストが述べ合っているのが印象的だった。「Airbnbは、本当にこの民泊新法でいいと思ってるんだろうか。180日規制が入ったら、年の半分しか営業できないし、Airbnbの売上も半分に減るんじゃないか」「いや、逆に合法化されることで、登録件数が3倍になれば売り上げが伸びると見てるんじゃないか?」

 先月以降、民泊の運営をするホストが集まった時に話を聞くと、180日規制が入るので、どうしたらいいかを勉強しに来たというコメントが目立つ。これまでグレーゾーンと言われていたが、本格的な取り締まりがそこまで厳しくなかった。しかし、罰金の上限が3万円から百万円に引き上げられ、法整備が進む中で、どうしたら良いか、不安を感じる民泊ホストが増えているようだ。

 

簡易宿所も増えそうな気配に

 全国の中で、違法民泊に対する規制を強める京都。昨年末の時点で1714件旅館業者があった。このうち、約4割が2016年に新規で登録された分だという。増加数を見ると、2014年72件の増加だったのが、2015年183件の増加、そして2016年695件と一気に増加数が増えていることがわかる。2年前の約10倍の増加数である。

 民泊のセミナーは多いが、先日は簡易宿所セミナーという名前のセミナーが開かれ、そこには20人ほど集まっていた。全員が民泊のホストだ。私自身も、昨年に比べると簡易宿所を作れないかという相談を受けることが、今年はぐんと増えた。それだけ、民泊ホストたちの危機感が高くなってきたということを感じる。

 無許可の民泊に対する規制を強めつつ、旅館業取得への誘導を行っている京都の後を全国がたどるのだろうか。

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