【復刻・民泊革命(第59回)】 民泊ウォッチャー・そーたろー氏に聞く

1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。

 民泊新法が閣議決定され、民泊運営事業者の間でも、簡易宿所を作る方向に舵を切るかという話題が多くなった。今回は、第38回で苦情のない民泊実践を解説してくれた民泊ウォッチャー・そーたろー氏に、簡易宿所について聞いてみた。

 

――昨年695件旅館業施設が増えた京都。その大部分を占めるのが簡易宿所だ。民泊から簡易宿所への転向が増加する京都で、簡易宿所運営の手伝いも始めたそうだが、どんなことをするのか。

そーたろー「写真撮影やセットアップの提案、まあ、よろず屋に近い」

――セットアップの提案と言うと?

そーたろー「家具やインテリアを予算内で提案する。部屋のコーディネートを提案することもある。民泊のノウハウがそのまま通用する。手伝っていると、簡易宿所について色々発見や収穫がある」

――どういう発見があったか。

そーたろー「旅館業法の合理的でない規制だ」

――例えばどんな点が不合理?

そーたろー「京都の場合、古い町家除き帳場を作らないといけない。何軒かそれを見たが、不合理極まりない。ある意味が判らない。一軒家をコンバージョンするケースが多いが、これだけで2㎡無駄になるし、見た目も良くない。」

――他にもあるか。

そーたろー「常時人を置く事を定めている点。ITの時代でカメラやセンサー、警備会社との契約で防災対策は十分できるのに、無人運営に対する理解が無い点だ。」

――完全な無人ではないが、ロボットが応対する変なホテルが好調で、関東に進出するというニュースがあった。民泊新法と同時に進行中の旅館業法の改正でも一定の条件下でフロント不要になるという話だ。

そーたろー「民泊、簡易宿所、ゲストハウス、どんな呼称でもかまわないが、大事な点はグループ水入らずのプライベート空間というのは需要があり、求められているという事だ。」

――ホスト不在型で運営する鎌倉の簡易宿所でも、それは感じる。

そーたろー「民泊訴訟を起こした石原一樹弁護士の言うように、このグループ水入らずのプライベート空間は、今の旅館業法の4つの類型に当てはまらないし、これを無理に適用すべきでもない。」

――1室を1組のグループで独占的に利用する宿泊形態は、確かに5室以上の旅館、10室以上のホテルには当てはまらないし、不特定多数での共有を前提とする簡易宿所の規定もそのまま当てはめるのに無理がある。代表的な例として、定員2人の簡易宿所でもトイレを2つ要求する自治体が多い。

そーたろー「簡易宿所よりはるかに人の出入りと使用頻度、回数の多い飲食店は1個でOKとしているのだから、同じ衛生行政の宿泊施設に対してこれより厳しいルールを敷くのは合理性がない。」

――なるほど。

そーたろー「現代の常識で普通に考えれば、理由のない規制が旅館業法には多過ぎる。また、自治体にあまりに裁量権を与え過ぎ、ローカルルールが多数あったり、担当者レベルで解釈が違ったりと、許可を得たい事業者にとって負担が重過ぎる」

(次号に続く)

<筆者プロフィール> 児山秀幸(こやま・ひでゆき) 合法民泊やホステル・ゲストハウスなど簡易宿所の立ち上げや運営支援を手掛ける株式会社TAROコーポレーション代表取締役。旅館業法における「簡易宿所」の営業許可を取得した「タローズハウス鎌倉小町」を運営。Facebookグループ「簡易宿所・民泊ビジネス研究会」の管理人。Airbnbや民泊新法、旅館業法、特区民泊、東南アジア民泊、医療インバウンドなどに関するセミナー・コンサルティングも。

<前回号である第58回記事> 

【復刻・民泊革命(第58回)】 民泊法案、民泊への影響は?