1年4ヶ月間、2016年1月11日号から2017年4月24日・5月1日号まで計64回にわたって不動産業界紙「週刊住宅」に連載された「民泊革命」。掲載用に編集前の元原稿を民泊大学ウェブサイトで復刻し、過去に取り上げた事実が現在どうなっているか、著者のコメントを合わせて掲載します。
民泊新法の制定、実施が視野に入ってきた現在、簡易宿所許可を取得するのが一番の正攻法なのは、異論を待たない。下町にあった一部店舗だった住宅の店舗部分をその簡易宿所にコンバージョンした寿荘(ことぶきそう)。この物件を開発したのがLIVMO(リブモ)だ。今回は、LIVMOの源侑輝社長に話を聞いた。
外国人に人気の谷根千
訪日外国人に昭和のレトロな雰囲気が受けている谷根千。物件見学のため、日暮里から谷中、根津にかけて歩いたが、多くの欧米系の訪日外国人に出会った。別に観光の名所があるわけでもないのに、どうして外国人にそんなに人気があるのか。それは、澤の屋旅館から始まったと言われている。
昭和57年のある日、ホテルに押されていた旅館の一つだった澤の屋では、3日間顧客がなかった。そこで、外国人客にターゲットを絞る一大決心をし、食事付だった宿泊を、素泊まりに切り替えた。もちろん、応対についても努力があったのだが、食事なしにして周囲の店や銭湯を勧めたことで、外国人が街のレトロな雰囲気の魅力に気づき、その口コミによってリピーターや紹介客が増えて現在に至ると言う。
その伝統を引き継ぎ、街全体で訪日外国人をもてなすHAGISOホテルプロジェクト”HANARE”があったり、古民家を活用したカフェが点在したりして、面白い街になっている。今回取材した寿荘は、その谷根千の路地を入ったところにあった。