【第20回】社会問題の解決手段としての民泊活用『北海道民泊、訪れてよし住んでよし』北海道民泊観光協会 代表理事 南邦彦さん

民泊清掃現場では、前回の記事のとおり、地域住民から民泊運営に対するクレームもあります。

しかし、悪いことばかりではありません。

2016年4月熊本地震の発生後、Airbnbは無料で泊まれる緊急宿泊場所の提供を開始しました。被災者へ向けて、Airbnb社とAirbnb登録ホストが連携を図り避難先を探している方へ向けて、無料で部屋を提供したのです。

被災者家族に家・部屋を開放し、食事を作る空間及びその場所から食事の提供し、加えて備え付けている洗濯機で洗濯をすることが可能となりました。

Airbnb社の取り組みでは、地域で災害があった時に避難先を求めている人々に対して、Airbnbホストが、簡単に宿を提供できるような仕組みが整備されています。洪水や地震など大規模災害が発生すると、迅速に部屋の提供が行われるのです。

法律上は正式に認められていない民泊ですが、シェアすることによって迅速に必要なモノを提供することが可能です。 私の住む北海道においても北海道沖にM9クラスの地震が発生するのではとの予測もあり、熊本の次は北海道沖ではと言われております。 ここ北海道においても大規模な災害が発生するかもしれません。

他にも実際にあった事例ですが、DV被害者を支援する団体から、北海道の真冬に、男性の暴力によって窓ガラスが割れ、お母さん・子どもを民泊部屋で、かくまって欲しいとの連絡を頂いたことがあります。選択肢としてホテルやDVシェルターなど一時保護・避難が可能な施設もあるのですが、DV被害者を支援する団体は一時避難をする空間として民泊部屋を選択されたのです。おそらく、お子さんの年齢的なことや、炊事や洗濯のことなど複合的に考えられたのでしょう。

民泊物件の運営は180日以内と設定をされ、稼働していない180日期間を災害時に提供できる部屋として自治体と連携を図るようなことも有効な対策の1つとして考えることができます。

南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用で民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。