【第24回】空き室対策としての民泊『北海道民泊、訪れてよし住んでよし』北海道民泊観光協会 代表理事 南邦彦さん

この1年、民泊やAirbnbに関するニュースや記事が日々飛び交い、北海道でも多くの方が「民泊」という言葉を認知するまでになりました。

2年ほど前までは、民泊を生業としていることを表に出すと拒絶をされるくらいの反応も多々ありました。特に不動産関係者へ民泊をさせて頂ける物件ありませんか?とヒアリングをしようものなら、瞬時に「そのような物件はありません。お帰りください。」そんな状態でした。

転貸許可などもっての他という感じでした。 しかし、ここ数ケ月で民泊を理解しようとする動きも出てきています。つい先日、不動産関係者から連絡がありました。「札幌のアパート1棟を売却したい」「つい先日まで満室だったが急に空室が4室もでてしまった」「売却時に満室の方が良いので民泊可(転貸許可)とするので、民泊物件を探している方を紹介して欲しい」という内容です。

そのオーナーは民泊物件があることで空室対策となりアパートの価値が上がると考えたようです。売却後の新オーナーにも、民泊物件運営について説明をするとのことでした。

他にも、ある札幌市内のアパートオーナーより相談がありました。そのオーナーは民泊への転貸許可をしていないにもかかわらず民泊を運営されていたという内容です、。民泊などゆるせないということで許可なく運営をしていた方には退去してもらいました。退去に至るまで様々なやりとりがあったのですが、結果、オーナーご自身が民泊へ興味を持ち、立ち退いた物件でオーナーが民泊を運営することとなりました。そして空室が発生する度に部屋を民泊へ転用しているのです。オーナー自身はそのアパートの最上階へ居住しており、適度にゲストとも交流している様子で英語の勉強にもなり楽しいと話していました。

更には1階がテナント・コインランドリーとなっているアパートにおいて、賃貸物件の空室を民泊可(転貸可)物件と提案。シーツなどを洗濯・乾燥しやすい民泊清掃に適したアパートですとPRし、満室としている物件もあります。

札幌に空室が多いという事情が民泊を受け入れる要因になっていると推測されますが、民泊現場からそのような動きを見ていると、条例等によって民泊を排除しようと考えることはかなり無理があり、民泊新法(住宅宿泊事業法)・民泊条例によって健全に育成を図るべきではないかと感じています。

月35000円の賃貸部屋が民泊へ

南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用で民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。