【第25回】子育てと仕事の両立『北海道民泊、訪れてよし住んでよし』北海道民泊観光協会 代表理事 南邦彦さん

私と息子です。

昨年2017年の訪日外国人旅行者は、2016年より20%増の約2869万人、目標としている2020年4000万人へ近づいてきており、その中で滞在先をホテルのみならず民泊を選択する人も増えている。

私が民泊の存在を知ったのはちょうど3年前でした。保育士用養成施設内で障がいを持った方々と清掃事業を立ち上げ、一定の清掃研修を終えたころ、彼らから施設外就労・外部の清掃をやってみたいという声があがったのです。

「各方面へ清掃の仕事ありませんか?」と相談・営業するも「既存の業者がいるので」と良い返答をもらえることはありませんでした。そんな時に「民泊物件の清掃があるよ」という話がありました。私は清掃をしながらリサーチをし札幌でも十分民泊需要があることを知りました。

民泊は違法行為ですので、保育士養成施設に迷惑をかける可能でもあったので退職をさせていただき民泊事業に専念することにしました。 そして保育士の教員時代の研究テーマを深く掘り下げられないかと考えるようになりました。当時「家庭支援」という科目を担当しており、保育士が保育所に通う家族はもちろん、通所していない子育て中の家族にどのように支援ができるか?という内容です。

私はその支援前提が、子育て中の親が働きに出ていることになっており、そこに支援をしようという内容に疑問を感じています。

様々な技術の発達により勤務先に出かけなくても働ける在宅勤務や身の丈にあった就業形態によって、生活と仕事を区別しなくても生計を成り立たせることができないか?親と子が一緒にいながら家族が暮らせることができないか?と考えるようになりました。

子育てと仕事の両立で苦労をしている家庭へ子どもを預かるという支援以外に、こういうライフスタイルもありますよという提案ができないか?と強く感じ、私自身が実践してみようと思ったのです。

私は家族で通える幼稚園を選び、夫婦と子ども2人の4人で幼稚園へ通っています、幼稚園では必要に応じて仕事もさせて頂いています。ノートパソコンを使用しゲストや清掃員とメッセージなど業務が終わると、家族との時間に戻ります。 共働かない生活の実践は丸2年になりますが、民泊によって家族起業という芽がなんとなく見えてきたようなイメージです。

各々ライフスタイルに対して、自宅や地域の使われていない部屋や空室を活用し、身の丈にあった収入を得る仕組みについて、今後も実践しながら研究をしていきます。

南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用で民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。