今回は民泊ゲストが必ず使用するといってもよい電化製品、洗濯機についてです。
私が管理をお手伝いしている部屋がある生まれ故郷、広島ではフランス人をはじめイタリア人、スペイン人、イギリス人など欧州系の人が宿泊客の主流ですが、彼ら・彼女らがもっと起こしやすい洗濯機を動かす上でのヘルプコールの原因といったら、
「洗濯物を詰め込みすぎて動かない」
というものです。現地に行った人の話を伺ったら「洗濯機を覗いてみると、洗濯物が多すぎて洗濯槽が回らず洗濯機が動かないということがほとんど」だそうです。
この原因は、長旅で洗濯物を溜め込んでいるから一気に洗ってしまいたいという理由もあるのでしょうが、主因は日本と海外の洗濯機の洗濯方式・洗濯文化の違いにあるのではないかと考えています。
すなわち、ヨーロッパの水はカルシウムやマグネシウムを多く含んだ硬水の場合が多いです。これは洗濯に適している水とはいえません。また日本ほど水事情も良いわけではないです。
このような水事情からヨーロッパの洗濯機は大量に水を使わずドラムの中で回転させて落として汚れを落とすドラム方式のものがほぼ100%といっても過言ではありません。自分のイギリス在住経験からしても、どのご家庭もすべてドラム式でした。
そしてこのドラム型洗濯機は洗濯槽に洗濯物が入ってしまえば動いて洗濯は始まります。そういう意味では「詰め込む」ことが可能とも言えるわけです。
ところが日本の場合はカルシウムやマグネシウムをあまり含んでいない軟水です。また熱帯モンスーン気候で台風や梅雨で雨のたくさん降る水事情が比較的良い国です。ですから洗濯機もその利点を活かして、水を洗濯槽に溜め込んで水の撹拌で汚れを落とす縦型洗濯機が市場を席巻しています。
ところが、この縦型は洗濯槽に溜め込んだ水の撹拌の中に洗濯物を入れてその流れで汚れを落とすものですから、洗濯槽にフルに洗濯物を詰め込んでしまうと水流が作れず洗えません。ですから洗濯物が多すぎるとエラーコードが洗濯機のパネルに出てしまうという設計に日本の洗濯機はなっています。
ここに、日本と海外の洗濯文化の違いが出てくるわけです。
ですからハウスマニュアルを書く際に必要な単語は
‘No overloading’
(洗濯物詰め込み過ぎ禁止)
ということになります。
その他にも
・洗濯時間は40分程度と明記する
→硬水は汚れの落ちがよくないので、洗濯に時間がかかることもめずらしくないため。
*イギリスのドラム型洗濯機だと3時間くらいかかる通常の洗濯モードというのがあって、その時間の長さにびっくりしたことがあります。さすがに自分は洗濯時間の短い短縮モードで行っていました。それでも1時間くらいはかかったように記憶しております。
・一時停止ボタンで洗濯物を追加することができる旨を書く。
→ドラム式だと途中ドアを開けて洗濯物を追加することができないから。
ということを書いておけば、欧米のお客様からのヘルプコールは減らせますし、親切です。特に欧米のお客様は「途中で忘れた洗濯物を追加できる」とは予想していないので。