【第9回】”民泊ゲストにテレビは必要か” 民泊とハウスマニュアルの鉄則 広島在住 民泊コンサルタント 播磨 恵さん

今回はテレビについてお話したいと思います。

資金潤沢な民泊ホストの中には、衛星テレビまで部屋に完備している方もいらっしゃるかもしれませんが、これだとスカパーの受信料など費用がかさみますので、地上波TVだけという方が大半を占めるのではないかと想像します。

その時リモコンの表示で必ず必要な言葉は、

Only terrestrial channels (地上波のみ)

です。これで「ああ、衛星やケーブルテレビの外国語放送はないのだな。。。。」ということはゲストに一発でわかってもらえます。そういう意味では便利な単語です。

ただ、こう書くと、

「部屋にテレビないよ。」

というホストの方もいらっしゃるかもしれません。しかし私の見解では、テレビは部屋に

あったほうがよい

と感じています。理由は次の2つです。

1つは「防災面」からです。

自然災害の多い日本。たとえば東日本大震災クラスの大地震が起き津波警報が発令されたような場合を考えてみましょう。
もしテレビがあれば、ゲストたまたまテレビを点けていると、日本語がわからなくともアナウンサーが真剣な顔つきで臨時ニュースを読み上げ、同時に日本地図に黄色や赤で縁取りされた画面に遭遇すれば、

「ヤバいんじゃない、これ?」

ということをゲストは感じ取れます。そこでゲストが至急ホストにメッセージを流す、あるいは電話でホストに「何事?」と連絡するという手段が取れます。テレビがなければ在宅時でも自然災害による緊急事態の発生という状況すらゲストは掴めない可能性もあります。

もう1つは「異文化体験」という面からです。

すなわち、自分が海外旅行をした体験から言えるのですが、言葉がわからなくともTVの画面をボーっと見ているだけでその国の国情というか文化がおぼろげながら掴めることができます。例えば、イスラム系の国に行けばモスクでの礼拝の様子が中継されていたりしますし、韓国のテレビでバラエティ番組を意味解らないままでも見ていると「日本のバラエティとそんなに変わらんな(苦笑)」と東アジアの文化的類似性について体感できます。

最近ではお客さんの中に「日本のアニメ番組を見たいのでテレビはあるか?」と質問をされる方もいらっしゃいます。これも日本で異文化体験したいというゲストの意思表示だと思います。

そう考えると、私はテレビを設置する必要性は低くないと考えています。

 

播磨 恵(はりま めぐむ)/翻訳・通訳、英語講師、民泊コンサルタント

広島県呉市生まれ。現在は広島市在住。原爆ドームや宮島を訪れる観光客が非常に多い広島にて、2014年12月、知り合いから依頼を受けて民泊の英文メッセージの予約管理やハウスマニュアルの作成。また無類の旅行好きで、サッカー観戦のため、国内や海外でもAirbnbを使って宿泊し、ゲストの立場にたった民泊ビジネスを心がけております。現在2018年FIFAロシアワールドカップの観戦旅行を計画中。