【第36回】ホテルとホストは敵同士なのか?『北海道民泊、訪れてよし住んでよし』北海道民泊観光協会 代表理事 南邦彦さん

札幌市の合計特殊出生率は、政令指定都市の中で最低です。

少子化は止められるか?

私は前職 保育士を養成する立場・教員でありました。少子化対策について学生と議論をし一緒に解決策を考えることなどをしていました。札幌市の合計特殊出生率は、政令指定都市中で最低の1.09(全国平均1.39)であり、都道府県別でも北海道は1.30と全国平均1.46から比べても低いのです。

保育所や保育士を増やすことは子育て支援として大事なことですが、第二次ベビーブーム世代も40代となり、今後は考え方を少し変え、地域の人口減少とどう向き合うかと考える必要があります。

札幌市内の出生率が低い現状から、今後は転入や交流人口を増やす必要性を強く感じていました。民泊清掃のお話を頂いたときに、民泊による交流人口を増やすことは、北海道にとってとても必要な事業ではないかと思い、現場をリサーチするために民泊清掃をスタートさせたのです。

リサーチの一環としてホテルの方々とお話をする機会もあります。札幌市内の老舗ホテルの方は民泊を敵対視、ライバル視するような動きもありますが、私はインバウンド需要を見越して宿泊数を拡張することなく経営を続けた結果、道外(国外)資本のホテル建設が増えていることに目を向けるべきではないかと提案をしています。

余談ですが、保育所にも同じことがいえます。待機児童が多いとされつつも、地元の社会福祉法人 保育所は増設せず、結果、道外資本の株式会社保育所が新設されているのです。保育所を増やすことにより、子育てと仕事の両立が可能となり、そして出生が増えるという結果には至っておらず、残念ながら、少子化対策は遅きに失したと言われています。

話を戻しますが、ホテル・旅館業が一体となり、首長・議会議員へロビー活動を活発化させています。首長・議会議員、彼らの集まり、セミナーはホテルを会場とする場合が多いため、ホテル関係者とつながりがない首長・議員はいません。そのため、民泊事業者との接点を持つ首長・議員は少数派でしょう。

交流人口を増やすこと、ゲストが地域を楽しめることを目的とし、地元ホテルと地元民泊ホストがコラボした「おもてなし企画」などを世界へ発信するべきです。

民泊Airbnb事業者が、地域へ迷惑かける存在、ホテル業を圧迫する存在と見るのではなく、民泊ホストは地域課題(少子化・交流人口増)の解決に向けて「行動する住民」として政策誘導することの方が得策ではないでしょうか。

南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用で民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。