前回の記事で、「毎年この時期には札幌への多くの観光客で賑わいが」と書かせていただきました。
札幌市内に約1500室あると言われている民泊物件もほぼ満室となり、民泊現場では日々ゲストのチェックイン/チェックアウトが繰り返されます。
チェックアウトに合わせて清掃に入るのですが、清掃数に対応するために様々な工夫や効率化を図っています。 過去、リネン(シーツ)の洗濯・乾燥に大変苦労をしたことがありましたが、ホテルリネンサプライ(リース)など活用することで効率化を図っています。
アウト時の清掃にも配慮していますが、チェックイン時の緊急対応についても、様々なトラブルが発生しています。 昨日は夜間帯にトイレが詰まったというメッセージがあり、トイレが使えないなどは生活に支障をきたすのですぐに現地に出向き対応しました。
私もこれまでトイレ詰まりを改善してきましたがラバーカップ(すっぽん)では対応するも状況は変わらず、便器を外し詰まりを解消しました。もちろん時間はかかりますが、工具を用意し一つ一つ作業を積み重ねることで便器は外すことは可能です。
清掃の域を超えていますが、何千キロも離れた地域から札幌へ来て頂いたのですから、札幌で楽しい時間を過ごして欲しいと願っています。 トイレ詰まりを改善し帰宅すると携帯電話へ着信がありました。
民泊物件の下の階に居住するAさんからです。 文章にすることが難しいのですがAさんは親切とおせっかいのボーダー的な方で、地域の方のゴミ出しや駐車場の使い方など目を光らせています。その物件内ではちょっと嫌われている存在です。管理会社の担当者からも要注意人物として助言がありました。
このマンションで民泊がスタートしますと挨拶に伺った際にも、様々な苦言・提案をしていただきました。そこで携帯電話番号を伝え、なにかあれば連絡くださいと伝えました。すると早速、ゲストが駐車場の位置を間違えていると私の携帯電話へ連絡をしていただきましたが。
私も離れた場所におりゲストへメッセージで伝えることしかできませんでした。あれこれメッセージやりとりしている間に、なんとAさんはゲストのところまで行き車を誘導してくれたのです。 他にも、Aさんがこのマンションはお湯を使用すると「ドーン・コクン」と音がなり、管の中で音が発生するためマンション全体に響くウォーターハンマー現象が発生すると話してくれたことがありました。
ゲストがシャワーを使用した際にウォーターハンマー現象が発生、親切にAさんは私に教えてくれたのですが、着信の時間は夜中1時30分でした。 Aさんもシャワーをしている時間にゲストの元にいくことはためらい、翌朝ゲストの部屋へ行きウォーターハンマーを防ぐ方法を伝えてくれたのです。
私やスタッフが、すぐに駆け付けることができないことがあります、そんな時はAさんが先に解決をしてくれていることが多々あり、繁忙期には手が回らず、民泊物件内にひとりはAさんのような存在が絶対的に必要なのです。
Aさんは、おせっかいとも言える行動なのですが、自身の住むマンションへ外国人ゲストが来ることをワクワクしながら見守ってくれています、ゲストが問題なく滞在できるよう事前に防げることがないか一緒になって考えてくれる頼もしい方なのです。
南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用で民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。