【第44回】民泊新法はピンチかチャンスか『北海道民泊、訪れてよし住んでよし』北海道民泊観光協会 代表理事 南邦彦さん

民泊現場では、今年6月15日から施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)に準じた運営方法についての対策や情報交換が盛んに行われています。

有名なたとえ話ですが、未開の地へ靴を売りにいく営業マン、現地へ行くと現地人は全員が靴を履いていなかったそうです。営業マンAさん、ここでは靴の文化が無いので靴は売れない。一方、営業マンBさんは、ここでは靴を履いている人がいないので全ての人に靴が売れると判断をしたそうです。

今までの民泊ホストは未開の地を開拓者のように試行錯誤をしながら運営を継続してきましたが、今後の運営について皆さんが頭を悩ませています。

民泊プレイヤーが減少することで利用単価が増える、はたまた不動産関係者がこぞって民泊事業へ参入し供給過多になり、利用単価が減る。
売上減の要因は、180日の運営、経費増の要因は、消防関連設備費、ゲスト本人確認(IoT)、事業ゴミ処理費などです。

民泊現場では忙しいホストに代わってゲストメール対応・清掃対応・緊急時対応などを代行するビジネスが確立されており、代行手数料は利用(宿泊)料の20%前後が相場と言われていました。

例えば、利用(宿泊)料が月30万円の場合、賃貸(転貸)5万円、水道光熱通信費2万円、消耗品等1万円、清掃3万円、代行手数料6万円(利用料の20%)、代行手数料の主たる業務は、ゲストとのメッセージのやりとり、物件までの案内、物件内の家具家電の利用方法や困りごと全般に対するサポートを行います。

売上30万円から諸経費17万円を引くと13万円となります。

その他、スタート時に初期費用(敷金・礼金・家具家電等)が発生しておりますので、それらを何か月で回収ができるのか?という計算になります。

北海道の場合、繁忙期・閑散期による利用料の変動が激しく、スタートをする時期によって回収できるスピードも変動します。

いままでの民泊プレーヤーは賃貸(転貸)をし、民泊で運用するケースが多く見受けられました。住宅宿泊事業法(民泊新法)施行に伴い、新たにアパート経営者自身がホストとして民泊運用を試みようとするケースが増えてきています。

アパート経営者自身が運用するのであれば、空室対策として180日も運営することができれば十分に採算が合うと考えているようです。

どのような仕組みであれば、民泊事業を継続ができるか?と、民泊ホストをサポートする運用代行会社もホストと一緒に考えており、例えば、手数料を利用料20%から1室2万円の定額制にするなど様々な試みがなされています。

南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用で民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。