【第45回】宿泊者の衛生の確保『北海道民泊、訪れてよし住んでよし』北海道民泊観光協会 代表理事 南邦彦さん

2018年6月15日から施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)の、宿泊者の衛生の確保(第5条関係)の中に、

寝具のシーツ、カバー等、直接人に接触するものについては、宿泊者が入れ替わるごとに洗濯したものと取り替えることとする。

とあります。 民泊清掃は日常清掃と言われる清掃業務と寝具の交換がセットになっています。民泊清掃スタート時には、清掃中に寝具を洗濯機で洗濯、近くのコインランドリーで乾燥をし洗濯乾燥をしたシーツを取り付ける方法を行っていました。 コインランドリーとの往復移動や、コインランドリーの乾燥機が他の人に利用されている間には、終えるまで待つことになり時間をロスする欠点がありました。

そこで室内清掃と使用済シーツをピックアップする業務、洗濯乾燥を専門に行う業務、清掃と洗濯とを区別する方法へ転換をしました。 一時、リネン業者からリネンリース提携を行っていましたが、リネン洗濯工場稼働に余裕が無い、更に繁忙期が重なる、リネン業者からすると日々シーツ交換するホテルと民泊ゲストのチェックアウト時のみシーツ交換する民泊とを比較すると、ホテルへシーツを納入する方が売り上げにつながるとのことで、民泊物件へのシーツ提供は難しくなってきました。

そして個人オーナーのシーツを個々に洗濯乾燥をしていては効率が上がらず、さらに洗濯代行はクリーニング業法に抵触する可能性があると保健所から指摘を受けました。 現場では何か良い方法は無いかと考え、民泊オーナーの方へ協力いただき、民泊オーナーが購入されたシーツを返却、私どもが準備したシーツをリースするという仕組みへと切り替えました。 毎日200ベッド程度のリネンを回収し洗濯乾燥し、たたむという作業を一括で行うには専用の機械が必要となり、それらを設置するまでに至りました。これらの作業には障がい者や生活困窮者も参画をしております。

宿泊者の衛生の確保(法第5条関係)の

寝具のシーツ、カバー等直接人に接触するものについては、宿泊者が入れ替わるごとに洗濯したものと取り替えることとする

このたった2行を日常的に遂行するために様々な試行錯誤があり、今ではホテルの客室清掃と同じような仕組みで民泊清掃を行うことが可能です。 ゲストやホストから民泊清掃費用が高額と思われるケースもあるかと思いますが、清掃会社は売上の一部をホテルリネン購入、業務用洗濯機、乾燥機の購入費用としているのです。

南邦彦(みなみ・くにひこ) /一般社団法人北海道民泊観光協会 代表理事
元保育士養成施設教科専任教員。2014年より障がい者雇用で民泊管理・民泊清掃事業をスタート。北大公共政策大学院卒。公共政策学士。